地下深くに微量元素の「隠された貯蔵庫」があることを、東京大と北海道大の研究チームが突き止めた。これまで行方がわからなかった微量元素などが、マントルの底に沈んだマグマの中に存在しているとみられる。

 地球の構造はゆで卵にたとえられ、黄身にあたる核(半径3500キロ)、白身にあたるマントル(厚さ2900キロ)、卵の殻にあたる地殻(陸地では厚さ30~60キロ)からなる。

 岩石でできたマントルは地球全体の体積の8割以上を占め、ゆっくりと対流している。浅いところに上昇して圧力が下がったり、水分が混じったりして融点が下がると、一部が溶けてマグマとなる。マグマが火山の噴火で地表に出てきたものが溶岩だ。

 45億年ほど前、誕生して間もない地球は、天体が衝突したエネルギーで岩石が溶け、マグマの海(マグマオーシャン)に覆われていたと考えられている。その後、マグマが冷えて固まってマントルとなった。

 その成分のうち、揮発しにくい元素の組成は、理論的には太陽系が誕生した当時の姿をとどめる始原的な隕石(いんせき)の組成と同じになるはずだという。

 ところが、世界各地の火山の溶岩に含まれる微量元素(ハフニウムとネオジム)の組成は、始原的な隕石の組成とは異なっている。隕石より少ない分のハフニウムとネオジムが地球のどこにあるのか、その所在はわかっていなかった。

 東京大の廣瀬敬教授(地球惑…

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